菊地 悦子
【小説】 ちぃ神さんの大イチョウ その4
菊地 悦子(きくちえつこ) 【その4】 「誰か人よんでくっから、コウコはここで待ってろな」 おらはそういって、村に飛んで戻った。「誰か、誰か、コウコが池で怪我した。誰か、早くきてくんつぇ ...さらに表示
【小説】 ちぃ神さんの大イチョウ その3
菊地 悦子(きくちえつこ) 【その3】 村の棚田に水が張られ、青い空を映し出していた。もうじき田植えが始まる。大人はもちろん、少し大きいこどもらもみな総出の、忙しい時期がやってくる。 ...さらに表示
【小説】 ちぃ神さんの大イチョウ その2
菊地 悦子(きくちえつこ) 【その2】 「なあ、これ」 コウコがイチョウの幹を指さし、おらを振り返った。見なくてもわかっている。ふたりでつけた背比べの跡だ。コウコがまだ今よりずっと小さか ...さらに表示
【小説】 ちぃ神さんの大イチョウ その1
菊地 悦子(きくちえつこ) 【その1】 小気味よい音をたてて空き缶が飛ぶと、こどもたちは「逃げろっ」と叫びながら四方八方に駆けだした。空き缶をけるのは、四年生のカマモトだ。隠れる時間を ...さらに表示
【小説】 身欠きニシンと不思議の山
菊地 悦子(きくちえつこ) タケシが学校から帰ってくると、思ったとおり身欠きニシンの束が土間にどっかり置かれていた。こないだっから、かあちゃんが「ニシン売り、明日あたり来んでねえべか」といっ ...さらに表示