奥会津ミュージアム - OKUAIZU MUSEUM | 奥会津に生きる人々の暮らしと生業を伝えるヴァーチャル空間のデジタル・ミュージアム。

奥会津ミュージアム構想

赤坂 憲雄

奥会津ミュージアムとは、なにか。
それは、奥会津という豊饒なる物語を抱いて生きるために、文化/産業/観光をやわらかく、有機的に、あらゆる境界を越えて繋ぎながら、どこまでも増殖してゆく知と技と情報のネットワークの結接点として創造される、いま・ここに初めて姿を現わす、未来志向型のミュージアムである。
いわゆる博物館や美術館のような施設は、どこにも持たない。
人が集まる、ささやかな広場だけは、確保するだろう。

奥会津ミュージアムは、奥会津に生きる人々の声に、大地のささやきに耳を澄ましながら、その暮らしと生業の場を、あるがままに生きられた博物館に見立てるエコ・ミュージアムをやわらかく包摂して、ヴァーチャルな空間に立ち上がるデジタル・ミュージアムである。 だれも見たことがないやり方で、〈歩く・見る・聞く〉を丁寧に重ねながら、いまを生きる奥会津の人々の、数も知れぬドキュメンタリーを、やさしい筆遣いで編んでゆく。 そうして、あたらしい奥会津の風景を紡ぎ直すことをめざしたい。

奥会津ミュージアムはまた、過疎化と少子高齢化が進む奥会津において、そこに暮らす人々がより豊かに生きるために、そして、奥会津の外からの訪れ人たちをやわらかく迎えるために、あくまで地域に暮らす人々の内発的な思いと協働において、奥会津という豊饒なる物語を再発見し、育ててゆくことになるだろう。

〈都人よ 来ってわれらに交れ 世界よ 他意なきわれらを容れよ〉
〈風とゆききし 雲からエネルギーをとれ〉
〈われらに要るものは 銀河を包む透明な意志 巨きな力と熱である〉

宮沢賢治「農民芸術概論綱要」より