菊地 悦子
彼岸蠟燭
菊地 悦子(きくちえつこ) 【一】 ピンポンとチャイムが鳴るたびに店先に目をやるが、客が入ってくる気配はない。出入口を全開にしているせいで、暖簾が風に揺れ、チャイムのセンサーが ...さらに表示
カナイ島へようこそ
菊地 悦子(きくちえつこ) 【一】 はじめは夢の一部だったのだ。「それ」は、夢をまたいで、うつつの五感に現れた。「それ」は、足元から腰、そして胸へ、私の身体を這い、絡み、強弱をつけなが ...さらに表示
【小説】 ちぃ神さんの大イチョウ 最終話
コウコの家では、カマモトと、驚いたことにカマモトのじいちゃんとばあちゃんも揃って囲炉裏を囲んでいた。 「孫だちの話、聞いたべや」 コウコのばあちゃんがいった。 コウコとカマモトは、おらのこと ...さらに表示
【小説】 ちぃ神さんの大イチョウ その6
菊地 悦子(きくちえつこ) 【その6】 「作戦会議を始めます おらたちは放課後、図書館の片隅に集まっていた。「僕とコウコで考えたんだけど、座敷わらし作戦はどうだろう」 カマモトのいうのは ...さらに表示
【小説】 ちぃ神さんの大イチョウ その5
菊地 悦子(きくちえつこ) 【その5】 カマモトはおらが何なのか、どうしても突きとめたいらしい。コウコも面白がっている。おらだって気にならないわけじゃない。「とりあえず、有力なのは座敷 ...さらに表示
【小説】 ちぃ神さんの大イチョウ その4
菊地 悦子(きくちえつこ) 【その4】 「誰か人よんでくっから、コウコはここで待ってろな」 おらはそういって、村に飛んで戻った。「誰か、誰か、コウコが池で怪我した。誰か、早くきてくんつぇ ...さらに表示
【小説】 ちぃ神さんの大イチョウ その3
菊地 悦子(きくちえつこ) 【その3】 村の棚田に水が張られ、青い空を映し出していた。もうじき田植えが始まる。大人はもちろん、少し大きいこどもらもみな総出の、忙しい時期がやってくる。 ...さらに表示
【小説】 ちぃ神さんの大イチョウ その2
菊地 悦子(きくちえつこ) 【その2】 「なあ、これ」 コウコがイチョウの幹を指さし、おらを振り返った。見なくてもわかっている。ふたりでつけた背比べの跡だ。コウコがまだ今よりずっと小さか ...さらに表示