渡辺 紀子 | 奥会津ミュージアム - OKUAIZU MUSEUM

【きかんぼサキ第2部】火事~忘れようもない夏

渡辺 紀子(わたなべのりこ)  あれは私が中学一年の夏だった。バレーボールの部活があり、校庭で練習を始めて間もなくの時だったような気がする。真夏の日差しというよりは薄曇りの空の色を覚えている。 ...さらに表示

【きかんぼサキ第2部】子どもにだけは…

渡辺 紀子(わたなべのりこ)  私には、サキノからも紀由からも言われることなく終わった言葉がある。それは“勉強しろ”という言葉だ。どんなに思い出しても一度も言われた記憶がない。普通の親ならば、 ...さらに表示

【きかんぼサキ第2部】語るなかれ、聞くなかれ

渡辺 紀子(わたなべのりこ)  年末年始のお客様が落ち着いた頃、サキノの家では必ず出掛ける場所がある。それは、栃木県鹿沼市にある「古峯神社」。集落の皆が「古峰ヶ原(こぶがはら)様」と呼んでいる ...さらに表示

【きかんぼサキ第2部】日本秘湯を守る会

渡辺 紀子(わたなべのりこ)  旅館には見ず知らずの人が訪ねて来ては泊まっていく。初めて訪れた人は宿帳を書いて頂くまで、どこから来たどんな人かは分からない。日々新たな出会いを繰り返している。で ...さらに表示

【きかんぼサキ第2部】布団をめくれば

渡辺 紀子(わたなべのりこ)  サキノは女性ドライバーの先駆けだった。誘われて町の商工会に入会するのだが、その活動でもサキノは重宝な存在だったらしい。会議や催しで近隣や福島市等へ出掛けなくては ...さらに表示

【きかんぼサキ第2部】事件が生んだ思わぬ奇縁 

渡辺 紀子(わたなべのりこ)  昭和44年に起きた水害の爪痕は、様々なところに現れていた。橋が壊れるといった被害も、サキノの家の前だけではなかった。隣の昭和村との境の橋もそうだった。その橋の工 ...さらに表示

【きかんぼサキ第2部】高松宮様ご宿泊

渡辺 紀子(わたなべのりこ)  “出稼ぎ”という生業がごく当たり前にあった時代がある。ここ金山町でも家長が出稼ぎを余儀なくされる家は少なくなかった。それは、豪雪の冬に働き口を求めて、遠方に仕事 ...さらに表示

【きかんぼサキ第2部】教えられ、支えられ

渡辺 紀子(わたなべのりこ)  サキノの毎日は、旅館の仕事は勿論、集落の人の顔と名前そして、各家の様子なども覚えていかなくてはならない日々だった。何も分からず二十歳そこそこで嫁いだ嫁は、おそら ...さらに表示