舟木 志子(ふなきゆきこ)
佐倉山は、南会津町の舘岩地区にあり「さくらやま」とも「さぐらやま」とも呼ばれているらしい。「会津百名山ガイダンス(歴史春秋社)」によれば、舘岩地区に同じ名前の山が3峰あるそうだ。今回登るのは、新うつくしま百名山にも選定されている、八総佐倉山1073mだ。
この山は、歩行距離2.2km高低差400mほどで、歩行時間も3時間程度と一見すると簡単に登れそうなのだが、見かけ以上に岩場が多くアップダウンが激しいため、初心者向けではないとされている。最近では岩場に設置されたロープが未整備のまま放置されているので、ロープに頼ると危ないという警告も出されている。そのためソロ登山は避けて、うつくしま百名山完登を目指している友人等に声をかけ、登ることにした。
10月に入り天気は安定してきて、この日も快晴の予報。午後から予定があったため登山開始を7:30にしてもらい、自宅を6時過ぎに出発する。この日は今季一番の冷え込みとなり南会津では霜が降って白くなっていた。田島を抜け舘岩方面に向かい、中山峠のトンネルを越えて7kmほど行くと登山口に到着。登山口付近は路肩が広くなっており、車数台が十分に駐車できるスペースがある。今回は4人で登る。安全のために各自ヘルメットを着用しようと事前に準備していった。
登り始めは寒く、防寒用の上着を着込むが、登り始めからいきなりつづれ折りの急登だ。落ち葉に足をとられ滑りそうになりながら15分も登るとすでに集落が見渡せるほど高度が上がる。息も上がって汗ばんできたので上着は脱いでザックにしまう。その後しばらく登ると最初のピークに到着する。909mのこの場所は広場のようになっていて、以前はテレビアンテナがあったそうだ。
そこから先は尾根伝いに登る。岩場の急登が続くが、危険な岩場には斜面を横切る巻道もあり、そちらを辿って進んでいく。岩場と言っても樹林帯なので、木の根や幹など、足場や手がかりは随所にあるため、高度感はあるものの思ったほど危険は感じられない。雨の日だったら木の根は滑るので危険度はかなり増すと思われるが、ここのところの好天で思いのほか快適だ。

以前、この山に登ったことのある方によれば「歩行時間は短いが、いくつものピークを越えていくのが精神的にきつい」と言っていたが、なるほど、急な岩場を登ったかと思えば少し下り、また岩にしがみついて登り、今度は山頂かと思ってもその先があるといった、期待と裏切りを何度か繰り返す。ようやく山頂に到着した時は、嬉しさ半分、あの急峻な岩場を下るという不安半分で、確かに精神的に疲れる山だ。
山頂は南側の眺望が良く、舘岩の集落や南会津の山々などが良く見渡せた。今朝炊いてきた松茸ご飯のおにぎりをみんなで食べ、山談義などしながらゆっくり休憩する。

下山ではさらに注意しながら慎重にゆっくりと下っていく。登りで、ロープは信用できないことを確認していたので、三点支持(両手両足の四肢のうち、三肢で身体を支え、一肢だけを自由にして、次の手がかりや足場へ移動する安全確保の基本動作)で下山も乗り切る。お互いに見守り、声を掛け合いながら、全員無事に下山できた。歩行時間以上の疲労感のため午後の予定はキャンセルして、皆で「道の駅番屋」で下山メシの天ぷら蕎麦を堪能し、再会を期して解散した。
佐倉山は、評判通りの急峻な岩山で、確かに初心者向けでは無く、安易におすすめは出来ないが、山頂に立った時の達成感と下山した時の安堵感は、今まで登って来た高い山にも匹敵する感覚を味わえる山だった。

コースタイム 7:35佐倉山登山口発 9:00山頂着 11:00下山