山行記⑮ 荒海山(あらかいさん) | 奥会津ミュージアム - OKUAIZU MUSEUM

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山行記⑮ 荒海山(あらかいさん) NEW

2026.10.15

舟木 志子(ふなきゆきこ)

 荒海山は南会津町と栃木県日光市の境界に位置する標高1581mの山。新うつくしま百名山に選定されている他、日本三百名山にもなっている。山なのに「荒海」とは、名前から魅せられる。しかも、海からは程遠い南会津町の、さらに奥まった最上流の場所にあるのに「荒海」とは。栃木県側では「太郎岳」とも呼ばれ、栃木百名山にもなっているらしい。

 また山頂には「大河の一滴ここより生る」という石碑があるとのことで、これを一度見てみたいと思っていたが、色々調べると少々手ごわい山のようだ。岩場の急斜面があったり、水害による崩落個所があったりするらしいので、行ってはみたいが一人では心配で何年も温めていた。この秋、お誘いいただき、ようやく登ってくることが出来た。メンバーは6人。天気予報は快晴予報だし、山の大先輩もご一緒くださるとのことで期待が高まる。早起きしておにぎりやおやつを準備し、朝6時30分に自宅を出発する。

 10月3日、会津高原尾瀬口駅に集合し、乗り合わせて八総鉱山跡登山口に向かう。8時少し前に登山開始する。見上げると空は青く、気持ちの良いスタートだ。しばらくは沢筋に沿って林道だった道を歩くが、度々の豪雨の影響か、崩れたり荒れている個所もあり、何度も渡渉を繰り返す。濡れた石や川底は滑りやすく慎重に渡るが、危険個所にはロープなどが張ってあり安心だし、少しスリルも味わえて楽しい。鉱山跡と思われる洞窟もあり、興味をそそられる。沢筋にはダイモンジソウやアケボノソウという、秋に花を付ける植物にも出会うことが出来た。
 しばらく進むと、沢筋の道から外れ尾根に向かう山道となる。つづれ折りの急登を30分ほど我慢して登ると尾根筋へと出る。そこからは樹林帯が続く眺望の無い道を、アップダウンを繰り返しながら徐々に高度を上げていく。ちょうど会話を楽しめる程度の程よい道だ。ブナや雑木の杜を抜けるとクロベなどの針葉樹が多くなってくる。紅葉には少し早いが、ナナカマドなどの木の実が赤く色づいていて、時折楽しませてくれる。
 山頂が近づいてくると、斜面が崩落している個所や、岩場の急登が出現する。踏み外さないよう一歩一歩注意しながら夢中で登っていくと、急に視界が広がり、眺望が良くなってくる。山頂までは急登が続くが、良い景色の中を登れるのは嬉しい。

 登山開始から約3時間半で山頂に到着すると眼前に栃木県側の山々が見渡せる。日光連山をはじめ、鶏頂山塊など様々な山が眺められる。

山頂からの眺め

 福島県側は、燧ケ岳や会津駒ケ岳、右側に視線を移せば、七ヶ岳などの南会津の山々が見渡せる。眺望は360度、秋晴れバンザイだ。そして例の山頂碑にもようやく会えた。

山頂の碑

 三角点のある東峰の太郎岳へも足を延ばす。登山道は無いが多くの人が歩いているようで、藪だが踏み跡がしっかりついており、片道5分ほどで行ける。
 

 山頂に戻り昼食。登り始めからほぼ一緒だった別のパーティーの皆さんとも合流し、写真をお互いに撮り合い、会話を楽しむ。他にも単独で登られる方もおられ、思ったよりも登山者が多く驚いた。
 のんびりと休憩してから下山開始する。下山は早く、あっと言う間に感じる。来るときに渡った沢を、また渡りながら登山の余韻に浸っていたら片足が濡れてしまったが、ゴールが近いと思うと気にもならない。秋晴れの1日、仲間と歩ける幸せを噛みしめつつ、無事に下山した。
 荒海山は分水嶺となっていて、山頂を隔てて雨や雪が太平洋側と日本海側に分かれて注ぎ込む、まさに大河の一滴の始まりの山である。また、登山道はあるが、渡渉あり岩場あり、崩落斜面を横切るアスレチックありの、野趣あふれる楽しい山だった。

コースタイム 7:52八総鉱山跡出発 11:22山頂 11:36三角点 12:23下山開始 15:19八総鉱山跡着