舟木 志子(ふなきゆきこ)
私は、今年の1月から「会津山岳会」という山の会に入会した。普通、山登りというと登山道のある尾根筋の道を登るのが常道だが、この会では、無雪期はクライミングや沢登り、冬は山スキーなど、登山道に頼らない山登りを中心に活動されている。私にはいずれもハードルは高かったのだか、研修が充実していることや、先輩方から学ばせていただけること、また、山の楽しみを広げることができるのではと、入会を決めた。
沢登りは、沢を詰めていって目的地まで登る方法で、登山道などは無い、道なき道を地図読みしながら登る。沢を登れば滝にも出くわすので、ロープやハーネスなどの特別な道具とそれなりの技術が必要だ。地図読みの知識や下山できなかった際のビバークの備えなど、総合的な能力や判断力も要求されるほか、尾根歩きに比べると圧倒的に危険度が高い。しかし、暑い時の沢登りはとても楽しいらしい。

定例会での研修会に参加するも、そもそも道具の名前から怪しい。あれやこれやしつこく質問すると、皆さん面倒がらずに丁寧に教えてくださる。聞けば聞くほど自分には難しいと思いつつ、やってみない事には出来るかどうかも分からない。まずは道具を揃えるところから、私の沢登りは始まった。〇〇は、どこそこのメーカーの物が良いとか、こんな機能があるものが良いなど、教えて頂いた道具を写真に撮り、メモしたものを握りしめ、スポーツ用品店のクライミングコーナーに行き、何とか最低限の道具をそろえた。

初めての沢登りは6月に西郷村の白水沢を登った。前日に道具をひとつずつ確認し、緊張のまま当日を迎える。現地ではまず道具の装着の仕方から。歩き始めると、沢の水は冷たいが意外と心地よい。沢沿いを歩きながら滝に到達。先輩方は慣れた手つきでロープを出し、初心者でも安全に登れるように配慮してくださる。ロープの結び方、地図の読み方、沢歩きの注意点などを適切にアドバイス頂けるのは、山岳会ならでは。クライマックスは、下山時の懸垂下降だ。ロープを頼りに20m以上を下降するのだが、高所恐怖症でなくても足がすくむ。「ゆっくりでいいよ」と声をかけられるが、とても早くは降りられないので、へっぴり腰ながら安全第一で下降する。後からスルスルと降りて来る先輩方の懸垂下降は所作もスピードも華麗だ。
そうこうして何とかゴールに到着し、目標の「怪我せず無事に下山」は達成できた。せっかく道具もそろったので、今シーズン、もう1回くらいは滝のしぶきを感じながら沢歩きをしてみたいと思いつつ帰路についた。

「山行記⑪ 秘境の湿原」に続く