山行記⑥ 蒲生岳(がもうだけ) | 奥会津ミュージアム - OKUAIZU MUSEUM

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山行記⑥ 蒲生岳(がもうだけ) NEW

2026.06.01

舟木 志子(ふなきゆきこ)

5月10日 蒲生岳

 只見町には「四名山」と言われる山がある。要害山(ようがいざん)、蒲生岳、会津朝
日岳、浅草岳の4座だ。そのうち、蒲生岳は標高828メートル。只見町インフォメーショ
ンセンターの情報によれば、地元の蒲生地区の皆さんが春と秋に登山道整備をされているとのことで、山開きは春の整備が終わってからの6月上旬に行われる。西側の要害山側から見た山容がスイスのマッターホルンに似ているとの事から「会津のマッターホルン」と呼ばれている、急峻な岩山だ。
 私がこの山を意識したのは、もうずいぶん前の事だ。新潟の実家に往来するために、
国道252号線六十里峠が通行できる期間は、金山町を経由し只見町に入り、峠を越えて実
家へと向かった。金山から只見に抜ける道は、ゆったりと流れる只見川に沿って国道が通
り、風が無ければ川の水面に山々や集落が映し出され、どの季節もとても美しい。只見
に入るとまず塩沢集落となり、そこから蒲生地区までの間に、形の良い円錐形の山が見えてくる。これが蒲生岳だ。
 5月10日は、只見四名山の一つ、要害山(標高705m)の山開きだ。私は地区の普請が
あったのでそれに参加した後、11時ころから蒲生岳に登ることにした。遠方から要害山の山開きに来た登山者は、せっかくだからと2座目に蒲生岳に登る人もけっこうおられるため、私が登り始めるころ入山するだろうとの目論見だ。山開きは人数が多すぎて渋滞してしまうが、山中に全くの一人ぼっちは不安もあるので、数人の入山者の居る間に登ろうという魂胆だ。正面から登り、下山は急峻な北側のルートを下り周回する計画にする。

蒲生岳

 

 案の定、登山口でばったり知人と遭遇し、そのグループの人たちとご一緒させていただくことにした。歩き始めると間もなくカタクリの群生地だが、花ははとうに終わってしまっていて残念だった。それでも、その先にはチゴユリ、イワカガミ、トウゴクミツバツツジなどが見ごろで癒される。途中の「鼻毛通し」では、ぽっかり空いた岩の中から松の木の枝が出ていて、なるほどこれが鼻毛の由来かなど、名所を見学しながら登る。急登の連続と5月とは思えない暑さに、汗がしたたり息も切れ、体力が消耗していく。グループの中に調子の上がらない人がいてきつそうだったため、いつも携帯しているOS-1をすすめ、荷物を他のメンバーで分担すると次第に回復してきた様子。みんなで協力して登れるのがグループ登山の良いところだ。
 そうこうしつつ、ようやく山頂にたどり着くと360度のパノラマビューが出迎えてくれた。浅草岳から会津朝日岳までの残雪の山々が青空に映えて美しい。遠くに見えるのは新潟の山々か。反対側には遠く磐梯山も眺められ、一方、眼下に目をやれば、只見川や集落が箱庭のように眺められる。ゆっくり休んでから北側の斜面を下山する。

 北側は事前に調べた通り、岩場や長い鎖場が続く今日の核心部だ。垂直とまではいかないが、かなりの急傾斜を下る。高度感もなかなかだが、頑丈な鎖としっかりした足場に助けられ、意外にも楽しく岩場を通過することが出来た。高度を下げると樹林帯に入る。すらりとしたブナの美林から午後の柔らかい木漏れ日が差し込み、涼しい風が心地よい。さらに下っていくとカタクリやキクザキイチゲが少しだけ残っていてくれて嬉しくなる。
 15:40無事下山。鎖場など1人ずつの通過となるため予定より時間はかかったが、同行者の居る安心感もあり、楽しく充実した山行だった。

※奥会津ミュージアムのライターであり、只見町在住の山の大先輩である鈴木サナエさんが、蒲生岳について詳しく書かれていらっしゃいます。(2023.08.01)
※今年の蒲生岳山開きは6月7日の日曜日。低山ながら、なかなか侮れない山です。靴底
の滑りにくい登山靴と手袋(ナイロン製の軍手で充分)を携えて、チャレンジしてみてはいかがでしょうか。
■コースタイム:11:10登山開始 13:20山頂到着 13:50下山開始 15:40下山