【食物編】カンネリボウとヤセウマ | 奥会津ミュージアム - OKUAIZU MUSEUM

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【食物編】カンネリボウとヤセウマ

2024.01.15

鈴木 サナエ(すずきさなえ)

 カンネリボウ(寒練棒)とヤセウマ(痩馬)、どちらもおよそ食べ物とは似つかわしくないネーミングであるが、れっきとした冬の只見の伝統ある郷土食である。しかし、郷土食と言っても、なぜかこれまで、お平やイズシのようには取り上げられることが少ないような気がしている。
カンネリボウは、嫁した我が家では大寒の日に食べたが、私の実家では聞いたこともなく、ここに嫁ぐまで食べたこともなかった。
一方、実家では2月の初午の日に必ずヤセウマを食べたが、嫁ぎ先のこの家では食べたことがない。そこで、まわりの人たちにも聞いてみたが、やはり作ったり、作らなかったり、食べたり、食べなかったり、その人によって、まちまちであったが、それぞれに耳では聞いていたようだ。
そんなバラツキが、郷土食として認知が広がらなかった原因なのだろうか。
寒い日のカンネリボウは、身体がポカポカと温まって美味しいから、娘たちも大好きだった。
また、文字通り痩せた馬の背中に似せて作ったヤセウマは、焼いて食べるとなんとも香ばしく美味しい。勿論、昔からの食べ物なので、ほとんどが地元でとれる食材を使っており、どちらも栄養的にバランスも良く、ヘルシーでもあり、手軽に作れる。
こんなふうに書き連ねていくと、益々、只見の郷土食のレシピから遠ざかっている今の状況は残念でならない。
今年、令和6年の大寒は1月20日、初午は2月12日になる。カンネリボウは勿論、久しぶりにヤセウマも作って周りの人に振舞ってみたい。

< カンネリボウ(我が家流) >

今回、カンネリボウについて数人に聞いてみたところ、大寒の日、あるいは寒の入りに「ソバガキ」を食べた、という人もいたし、何らかの出し汁の中にソバガキを入れて食べていた人もいて、食べる日も食べ方もそれぞれ少しずつ違っていた。

材料 
 そば粉(熱湯でソバガキを作る)
 鶏肉(昔はヤマドリ)(食べやすい大きさに切る)   
 大根(千切り) 
 人参(千切り)
 醤油
 酒
 だし汁(できれば 煮干し、削り節でだしをとる)
作り方
 鶏肉 大根 人参をだし汁 醤油 酒 でよく煮て、 最後にソバガキを入れる。

< ヤセウマ >

 材料
  大豆(あらかじめ茹でて柔らかくしておく)  
  団子の粉 
  塩
作り方
 1・団子粉に塩を加え、ぬるま湯でよく煉って大豆をまぜあわせる
 2・煉った米粉を15㎝ぐらいの丸い三角柱に形作り、三辺を少しへこませる
(これで痩せた馬の背中に見える) 
 3・たっぷりのお湯でゆで上げる。
 4・冷ましてから1㎝ぐらいに切り分けて食べる。時間がたって硬くなったらオーブン等で焼いて食べる。昔は囲炉裏で焼いて食べた。