【山と草花】 野草・雑草食べ歩き(その1) | 奥会津ミュージアム - OKUAIZU MUSEUM

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【山と草花】 野草・雑草食べ歩き(その1) 

2023.06.15

鈴木 サナエ(すずきさなえ)

 辺りに雪はまだいっぱい残っているけれど、ポカポカと暖かな春の陽ざしを受けて、チョロチョロ流れる水の音を聞きながら、流れの中のフワフワと揺れる雑草を飽くことなく眺めている赤いほっぺの女の子・・・・。
 私はそんなふうに幼少時代を過ごしました。
 だからでしょうか、困ったことに今、畑や庭の雑草があまり苦になりません。まして、除草剤などはもっての外。ですから、畑も家の周りも、いつも草ボウボウです。そしてそんな雑草を花瓶に飾ったり、食べたりが楽しみにもなっています。

・・・フキノトウ・・・
 春の味覚のトップバッターは何といってもフキノトウです。雪が解けて、去年の赤茶けた枯草の中からいち早く、柔らかく瑞々しいフキノトウの姿を見た時の喜びに満ちた感動は、雪国に住む者だけが味わえる特権です。フキノトウには雄花と雌花があって、それぞれにコメとアワと呼んでいました。コメの方が若干早く芽を出しますし、コメの方が苦みも少なく軟らかい。そして何より見た目も美しく、いかにも美味しそうです。しばらく見入った後は、丁寧に採って、洗って、水に放しておけば、しばらくいろいろに使えます。天ぷらは勿論、酢味噌和え、白菜のお浸しやみそ汁に少し加えたり、いっぱい採れた時は、油で炒めたフキ味噌が美味しい。フキ味噌は砂糖だけで味付けするのもいいし、豆板醤やごま油で味付けしたり、バリエーションも豊富にできます。良く炒めたフキ味噌は冷蔵庫で一か月は持ちますし、冷凍保存もできますが、あまり欲張らず、旬の味を楽しむのが一番です。また、その後、薹(とう)が立った軟らかいフキノトウの茎も、削り節の利いた味噌味で炒めたのも美味しい。
 フキノトウが終わるころから、野山にはウド、タラノメ、コシアブラと苦みを含む山菜が多くなります。苦みは冬の間ため込んだ身体の塩分や脂肪分などの毒を排泄してくれる、いわゆるデトックス効果があるそうです。
 これは、鉄炮打ちの人に聞いた話なのですが、冬眠を終えた春先の熊は、ヒメザゼンソウを食べて、冬眠中にため込んだ体内の毒を吐き出すらしい。因みにヒメザゼンソウとはウルイと間違えて食べて、嘔吐などの食中毒をおこしたというニュースも耳にする植物です。私達人間も熊も同じで、植物をただの食べ物として頂くだけでなく、普段あまり意識もしていないけれど、自然界の理にかなった、不思議な恩恵を受けているのだと感じています。

・・・スベリヒユ・・・
 只見でビョウとか言っているこの雑草が食べられることを知ったのは、いつだったろうか?そもそも、畑にこんな丸々と太って、まるで多肉植物みたいな雑草が生えるのさえ知らなかった気がする。よく見れば、小さな可愛らしい黄色い花をつけ、何より他の雑草と比べて、草むしりの作業が容易い。小さな花に信じられないほど多くの種をつけるから、どんどん増えていく。こんな雑草に畑の栄養分を取られてしまっては肝心の野菜が育つわけがない。
 というわけで、早速、スベリヒユの本場、米沢出身のOさんに食べ方を聞いてみたら、乾燥させて保存して置き、煮物に入れるのが、定番だという。ジャガイモ、人参、肉などを入れて煮てみたら、味はまずまずだけれど、わざわざ手をかけて乾燥させて保存しておくほどのこともないような気がする。やっぱり、この発祥は上杉鷹山の唱えた救荒食品の一つなのだろうか。
 次はさっと湯がいて、濃いめの味付けの酢の物にしてみた。これは少しぬめりがあるスベリヒユにピッタリで、暑い盛りに冷やしていただくと、しばし暑さを忘れさせてくれる。ナムルとか普通にお浸しとかも美味しい。それにしても、このスベリヒユが野菜として店頭に並ぶ日は来るのでしょうか?