琵琶の音を聴く | 奥会津ミュージアム - OKUAIZU MUSEUM

奥会津に生きる

琵琶の音を聴く

2024.07.15

鈴木 サナエ(すずきさなえ) 

  一か月以上も前になってしまったが、私としては珍しくテレビのスイッチを入れたら、NHK大河ドラマ「光る君へ」をやっていて、いきなり薄暗い部屋の片隅に立てかけられた琵琶が映し出された。ほんの一瞬ではあったが、私はその美しい佇まいに圧倒され、しばらくぼんやりとしてしまった。
 琵琶は遠いペルシャに起源をもつともいわれ、古い時代に中国を通して日本に伝えられたという。確かにあの音やフォルムは日本とも中国とも違う異国の情緒を醸し出している気がする。しかし、私達は今、琵琶の音色を聴くことはおろか、その姿を見ることができる機会も滅多にない。
 ところが、である。只見に別荘をもち文学と自然をこよなく愛し、一年の大半を障害を持ったりする猫とともに只見で過ごす「大宮旭溪」さん、普通は「みゆきさん」とお呼びしている女性が琵琶奏者である。これを聞きつけた私は過去に2回、自宅で琵琶の演奏会を開いて、聴く機会を得た。今度は西方の西隆寺での演奏会を、と、お願したところ、こころよく引き受けていただいた。
 「光る君へ」の世界を、ドラマだけでなく、生でその一端をお楽しみ頂けたら、有難い。