【奥会津探訪】 ”木地挽き”で木育 「南山郷人の会」 | 奥会津ミュージアム - OKUAIZU MUSEUM

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【奥会津探訪】 ”木地挽き”で木育 「南山郷人の会」

2023.10.15

須田 雅子(すだまさこ)

2022年11月3日の文化の日、南会津町の「南郷地域文化祭」で刺し子体験を終えた私は、素敵な南郷刺し子のベストを着た人たちのいる「南山郷人(みなみやまさとびと)の会」の体験ブースに立ち寄った。南郷を拠点とする「南山郷人の会」は、地域にかつて暮らした木地師の伝統の技を継承し、現代風にアレンジして後世に伝える活動をしている。

奥会津には木地師の集落の跡地があちこちに点在している。木地師というのは、轆轤(ろくろ)で椀などの木製品を作る職人のことだ。会津では、1590年、蒲生氏郷が入部の際に伴ってきた職人たちの中に木地師がいた。そのうちの菊地家の一族が、1756年に南郷の入小屋村(現在の東)の戸板沢にやってきて、舘岩に移り住むまでの40年間、山暮らしをしながら周辺の木を伐り、轆轤で木地挽きをして、会津漆器の生産を支えた。
(参照:『木地語りー会津田島のとびの足跡―』奥会津地方歴史民俗資料館編 福島県田島町教育委員会 2001年)

「南山郷人の会」が発足するきっかけを作ったのは、田島在住の伊藤康弘さんだ。伊藤さんは、退職後に集落支援員として南郷地区にやってきた。「南郷地域を見てまわっていたら、木地師の集落や墓地の跡地がある(駒止峠の「南山木地師戸板集落跡地」)。自分も趣味で木地を挽いていたので、せっかく地域にこういう文化があったのに途絶えてしまうのはもったいないなあと思って。意気投合した人たちと会を作って5年目になります」。

「南山郷人の会」の伊藤康弘さん(左)と宗像美由紀さん(右)

宗像美由紀さんは、トマトの就農で南郷に家族で移住したIターンだ。「地元の木を使って、自分で作ったもので生活ができるというのが魅力。食器を揃えられたりしてすごくいいです。お祝いなどでプレゼントしても喜ばれます」。

会長の五十嵐政次さんが語る。「私が小学校の頃までは、おじさんがやっていたんですよ。山を移り住んでいた木地師とは違って、地場産業みたいな感じで、大きな工場でやっていた。3、4人で轆轤をモーターで回して、茶櫃(ちゃびつ)だとかお椀だとかを作って若松の方に出荷して、それが会津塗に仕上げられたようです」。

「南山郷人の会」では「木育(もくいく)」のための活動もしている。「今の子どもたちって、プラスチックとかゲームとかそっちになっちゃう。木に触れて木のあたたかみとかを感じてほしい。木を削ってこういうものを自分で作れるんだよってことを知ってもらう機会を増やしたい」と伊藤さん。

体験ブースにやってきた男の子が轆轤に興味を示した。小学五年生の馬場大護(だいご)君だ。電動轆轤に固定されて回転するブナ材に鑿(のみ)をあてて削るコマ作りに挑戦した。

「削るところが面白かった」と五年生の馬場大護君(中央)。左は「南山郷人の会」会長の五十嵐政次さん。右は、大護君のろくろ体験をサポートした五十嵐正行さん。

小学生からシニアまで楽しめる「南山郷人の会」の木地挽き体験。興味のある方は、「南会津町観光物産協会 南郷支局」(電話 0241-72-2220)、または、「南会津町 南郷総合支所 振興課観光係」(電話 0241-72-2900)まで