菅家 博昭(かんけひろあき)
5月18日、奥会津ミュージアム館長の赤坂憲雄さんとの特別対談の第3回目が昭和村喰丸小で終了した後、私は同村小野川地区での田植えの写真撮影に行った。
国道401号、喰丸トンネルを抜けると小野川地区。その小野川集落から博士峠トンネル(2023年9月10日開通)に向かい集落が終わる場所の右手の水田3枚で渡部忠雄さんの田植えは行われていた。
就農時から福島県の冷害試験地でもある標高760mの小野川での、稲作の研究と試験を担当されてきた忠雄さん。水稲作は忠雄さんの人生そのものである。
忠雄さんが現在栽培されている稲の品種は、「里山のつぶ(注)」という。「里山のつぶ」は、中山間地域向け品種として、福島県庁が11年の歳月をかけて開発した。県内の冷涼な里山で広く栽培される品種になって欲しいと願い命名されたものだ。
今冬、忠雄さんのご自宅で話を伺ったところによると、大字小野川地区(滝谷川上流域)での稲作は、2023年は渡辺寿さんが28アール(2反8畝)、忠雄さんが52アール(5反2畝)であったという。
小野川には本村・奈良布・大岐と3集落あるが、2名の方による水稲作以外は、無くなってしまった。この地の耕地整理された現在の水田は42ヘクタール(42町歩)ある。
2024年5月18日現在、この水田42ヘクタールのうち、忠雄さん1軒の52アールに水稲が作付けされた。小野川地区の水田は転作で、かすみ草が一部作付けされるほかは、ソバが栽培されるが、ほとんどは荒地になっている。
(注)「里山のつぶ」は、平成15年 県内中山間向け品種の開発を目的に、母「新潟71号、ゆきん子舞」×父「福島14号」を交配。平成19年「郡系762」の系統番号が付き、平成21年「福島30号」の地方番号が付けられた。平成21~26年、水稲奨励品種決定基本調査で試験栽培を行った。平成26年、水稲有望系統現地適応性試験を行い、育成を完了した。
※5月15日の記事に書いたツバメの続報だが、5月19日、大岐の我が家の玄関にツバメ2羽が出入りをはじめた。20日の朝、カラスが橋に架巣した複数ツバメの巣のヒナを襲っているため、ツバメが上空で騒いでいる。