集落運営~中間団体の危機 | 奥会津ミュージアム - OKUAIZU MUSEUM

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集落運営~中間団体の危機

2024.04.15

菅家 博昭(かんけひろあき)

 4月7日(日)、住まいする大字区の地域運営を行う中間団体・「大字地区」の地区総会が開催された。2月中に、総会日程等を決める役員会が、小野川本村のセンターで開催されている。

 昨年度1年間、大岐地区の役員をしていたが、こうした会議や、広報誌・回覧などの配布、地区の共同作業(冬囲い、道路草刈り、河川掃除等々)を担当地区の住民の皆さんと一緒に活動してきた。
 小野川本村、奈良布、大岐の3小区(小字)に分かれ、それぞれに役員(世話役)がおり、輪番制となっている。統括する区長は役場の会議等にも出席するなど、激務である。
 3月17日、私は地区を代表する古峯神社の代参4名の一人として会務を終えたが、19日には「そうわり」という一年間の出役の精算事務が小野川センターで行われ、担当区の該当者から出金を要請して代金を徴収し区の会計に納入した。
 4月3日には会計監査があり、7日の総会を迎える。
 7日の総会は午前9時から正午まで3時間ほどかかった。77名のうち、25名出席し委任状30名、計55名で会員数の過半数が出席し総会は成立した。かつて各戸1名であった議決権等は、財産区の登記関係から、成人全員の加盟に変更されたため、3区の住民は77名(成人)、実際の戸数は42である。
 地区での工事や土砂搬出の場所の問題、来年の古峯神社代参者4人の選定、5月4日に行われる「博士山水芭蕉まつり」、5月12日に開催される「第1回旧博士峠ブナの巨木と野鳥の森~春のさわやかウオーク」等々について協議された。
 私は書記を担当したので議事録署名人2名の方に記録を見ていただき署名してもらい区長に提出した。
 なお、役員改選があり、現役員の留任が決まった。
 大岐地区では3月31日午前9時から大岐センターで総会(はんならし)を主催し、次の世話役を確定し、会計や事務を引き渡し、私の役は終わった。大岐はかつて15戸で3組あったが、近年は6戸で2組として回覧板等をまわしていたが、新年度から1組体制にすることとなった。

 さて、昭和40年代に最大人口を抱えた奥会津の各地では、人口減少・戸数の減少が続いている。そのため、冬期間の集落維持等の課題が発生してきている。
 小野川地区でも無住の家が増えており、その家の周囲環境の管理は現住の住民が分担して行っている。こうしたことに無住の持主から、年間5千円の協力金を徴収するのだが、賛同されず集めることができない家もある。
 また、高齢者1名の居住で、地区の出役(にんそく)に出られない家から「そうわり」として負担金をまた徴収することをしているが、今回の総会では、そうした家から負担金(そうわり)を徴収することを止めるよう、出席されたある女性から提案がなされた。その家に行ってお金をいただくことが、切ない、という理由だった。
 時間をかけて出席者全員で議論した。そして免除することが決まった。
 社会の変化に対応し、地域運営を柔軟に行うことが大切だが、こうした総会そのものに出席もせず、委任状も出さない人たち、それは新しく村に移住してきた人たちであったりして、新しい社会課題になっている。地域を維持するための出役(にんそく)は、皆、出たくない。それも早朝から行われる。地区役員が輪番制を原則とするのは、先に立って地域の運営をする苦労も共有しないと、地域がまわらないからで、こうした輪番制の役員も断る人も出てくる時代になり、社会運営を担う中間団体は、必要性が高い分だけ課題を抱えている。
 農業団体でも、たとえば農協に所属する生産部会の役員のなり手もいなくなり、部会が解散する地区も国内全体で多くなっている。これも中間団体で、社会の変化に柔軟に対応できる任意団体(法人格を持たない)は、社会の運営の主体であったが、組織は法人(会社など)と個人しか見えない社会になっており、深刻な岐路に立っている。