須田 雅子(すだまさこ)
檜枝岐村に行くと歌舞伎の化粧体験ができる。子どもから大人まで無邪気に楽しめる檜枝岐村ならではのプログラムだ。
2022年8月18日の鎮守神祭礼奉納歌舞伎の翌朝、舞殿(歌舞伎舞台)の手前の歌舞伎伝承館「千葉之家」を訪ねると、「千葉之家花駒座」第11代座長の星昭仁さんが、「これから化粧体験があるから見ますか」と言ってくださった。
二階に上がると、品のよさそうな男性お二人が、取材を快く引き受けてくれた。今回、歌舞伎化粧体験をするのは、京都ではり灸・ビワ温灸をする「太氣堂」の多根嘉宏さんと、多根さんに誘われて東京からやって来た、いとこの金丸結城さんだ。多根さんは、地方歌舞伎を観るために全国をまわってきた人で、宿泊できるミュージアム「奥出雲多根自然博物館」の理事でもある。
お二人の“顔の非日常体験”をダイジェストでご紹介する。
まず、手の平に「鬢(びん)付け油」をのせる。両手が熱くなるくらいまでこすり合わせ、ムラにならないように顔全体に薄く塗る。
↑ いとこ同士とはいえ、こんなにも動作が揃うものだろうか!?
鼻梁(はなみね)を残し、目の周りと頬の上のあたりに薄く朱を塗る。
金丸さん(左)、濃い、濃すぎる。
刷毛で顔が白く塗られていく。
座長の手で、いかにも悪そうな顔が出来上がっていく。
完成して記念撮影。一枚目役の多根さん(左)と三枚目役の金丸さん。
金丸さん「ちょっとこれは犯罪者みたい。さすがに渋谷も歩けない。眉毛つないでるのがポイント高いなあ」。
めったに見られない歌舞伎化粧顔を、二人とも名残惜しそうにしていたが、最後はクレンジング・クリームで化粧を落としていく。
金丸さん「これくらい残しておくと、陰りがある男に見える」。
多根さん「結城さん、パイレーツ・オブ・カリビアンのジョニー・デップみたい(笑)」。
一枚目顔の化粧を落とすのが最後まで名残惜しそうだった多根さんも、ついにクレンジング。素顔は爽やかなお顔でした。
檜枝岐村では、4月下旬から11月上旬まで「歌舞伎化粧体験」ができる。
所要時間は約1時間
詳細は「ひのえまたツーリズム」にお問い合わせください。
http://www.hinoemata-tourism.com/