須田 雅子(すだまさこ)
昭和村の中心地から峠をひとつ越えた大芦集落にある「ファーマーズカフェ大芦家」は、アクセスが決して良いとは言えないにもかかわらず、県内外からのリピーターがとても多い。
まず、ここは蕎麦がおいしい。昭和村産の「会津のかおり」を、マスターが午前3時に起きて蕎麦打ちする。今回、私はあたたかい「けんちんそば」をいただいたが、大根おろしの辛みが効いた冷たい「高遠そば」も人気だ。
「ばんでい餅」は地元の郷土料理で、餅米ではなく、うるち米(ごはんのお米)で作られている。じゅうねん(えごま)、あんこ、納豆の3種の味が選べて、餅とは違ったつるりとした食感としっかりした歯ごたえが楽しめる。お願いすれば、けんちんそば(または、うどん)に入れてもらうことも可能だ。
マスターの佐藤孝雄さんは、2010年、昭和村の役場職員を53歳で退職し、妻の浩子さんの実家の農作業小屋を改装してこのカフェを始めた。人生を賭けたこの転職に、お菓子作りが好きだった浩子さんも大いに賛成し、夫婦で新たなスタートを切った。
山奥でありながら、こういうカフェが近所にあるというのは本当にありがたい。ちょっとケーキが食べたいなと思ったら、出かけて行って持ち帰りもできる。価格も良心的だ。
気さくで話しやすいマスターの孝雄さんのもとには様々な情報が集まってくる。正に昭和村の情報のハブと言っていい。空き家情報でお世話になった人も多く、間接的ではあるが、私がお借りしている家も孝雄さんの紹介だ。そんなこともあって、孝雄さんは現在、昭和村役場から「空き家コンシェルジュ」の任命を受け、昭和村で家探しをしている人たちのサポートもしている。昭和村暮らしに関心のある人は、まずファーマーズカフェ大芦家に行って、マスターと話をしてみるのもよいだろう。
「ファーマーズカフェ大芦家」… https://zinento.exblog.jp/