須田 雅子(すだまさこ)
年が明けて2015年。染織や苧麻(からむし)がやけに気になって仕方ない。1月の終わりには、染色作家の平井真人先生が主宰の「地域文化遺産研究会」で与那国島に行った。2014年12月に石垣島に行ったときには、ミンサー織の体験でコースターを織ったが、与那国島では花織のコースターを織る体験をした。2月には京都のアルスシムラで染織ワークショップに参加した。
3月、「地域学」やお月見会でお世話になった中路正恒先生の退職記念特別講義があり、京都造形芸術大学(現・京都芸術大学)に出かけた。私が籍を置いていた芸術学コースの主任の梅原賢一郎先生と、『東北学』『地域学』のテキストやテレビなどで存じ上げていた赤坂憲雄先生も登壇され、三人の先生方の講義をライブ感たっぷりの一番前の席で興味深く伺った。
この頃には、卒業研究のテーマと方向性も決まり始めていた。東北の昭和村と沖縄の宮古、八重山の島々にある苧麻文化のことを調べてみようと思った。12月に石垣島で八重山上布を知った後、苧麻を原料とする織物は他にも、昭和村のからむしを原料とする新潟の越後上布や小千谷縮布、そして、越後上布とともに国の重要無形文化財でもある沖縄の宮古上布があると知り、昭和村、宮古島、八重山の島々で苧麻の話を聞いて歩きたいと考えた。
「昭和村でからむしの作業を体験できる所はないかなあ」とネットで調べていたら、「とある宿」という古民家ゲストハウスが、からむしの糸づくり体験を提供していることがわかった。
5月のゴールデンウィーク後の週末に「からむしの糸づくり体験」、その翌週末には「からむしの畑体験」の予約を入れた。2週連続で昭和村に行く。とにかく、からむしが、苧麻が気になって仕方がなかった。