【奥会津探訪】 月に願いを | 奥会津ミュージアム - OKUAIZU MUSEUM

奥会津に生きる

【奥会津探訪】 月に願いを 

2023.09.01

須田 雅子(すだ まさこ)

久高島 十五夜祭り 2014年9月

なんとなく始めた通信大学も、旅が伴うスクーリングは順調に単位が取れたが、テキスト科目がなかなか進まない。「卒業なんてとても無理。このままやめてしまおうか」と、だんだん弱気になっていく。

会社勤めにも大学にも行き詰まりを感じるようになっていた頃、昭和村の道の駅で目にした「からむし織」の素朴な布が、白昼夢のように脳裏に浮かぶことがあった。そんなとき、からむしの布は光に透けていて、私はぼんやりと思うのだった。「あの自然豊かな村で、“織姫”と呼ばれる女性たちは、村の人たちと触れ合いながら、楽しく過ごしているんだろうなあ。それに引き換え、今の私の頼りなさときたら…」。生命力が萎えていくのをどうしたらいいかわからずにいた。

「地域学」のスクーリングでお世話になった中路正恒先生のもと、大学の学生や卒業生数人で、2011年から毎年、中秋にお月見会をするようになった。北海道の二風谷や伊豆大島など、先生が決めた土地に出かけて、その風土に身を置く。2014年は9月に沖縄本島に近い久高島に行くことになった。久高島は、琉球創世神アマミキヨが降り立ち、国づくりを始めたといわれる「神の島」だ。

久高島に行く前に都内でお月見仲間と食事をしたとき、いつまでも頼りない私を見かねて、先輩二人が「須田さんを卒業させないわけにはいかない」とタッグを組んで、励ましてくれた。

久高島では、島の「十五夜祭り」を見学した後、徳仁港近くの公園でお月見をした。解散後、先生方3名を含む6人が残り、ピザ浜で打ち寄せる波と夜空の月を眺めていた。

(右から)染色作家の平井真人先生、友人で染織コースの林和子さん、中路正恒先生、民俗学者の田場由美雄先生、私。

月が中天にかかった頃、中路先生が私に「須田さんはどうもスッキリしないようだね」と言った。私は「そうなんですよ」と情けなく答えると、腕にしていたパワーストーンのブレスレットを名月に掲げて「私を何とかしてください!」と願った。

月に本気でお願いをしている私を中路先生が面白がって撮影していた。(撮影:中路正恒先生 ©︎masatsunen / 中路先生のブログ「世界という大きな書物」より)

すると、さすがは「神の島」久高島で、翌朝から何かが動き出した。